2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を解除しました。以降、住宅ローンの固定金利の金利は若干の上昇傾向が見られましたが、多くの金融機関は変動金利は据えおき、一部、もう一段、金利を下げる金融機関も見られました。
しかし、7月に日銀が追加利上げを発表したことを受け、10月から変動金利の上昇が本格化しています。金利上昇は不動産の下落要因となり得ます。金利上昇局面とはいえ、まだまだ低金利の今、不動産の売却を検討してみましょう。
変動金利を利用する人は8割近く
上記のグラフのように、変動金利を利用する人の割合は上昇傾向にあります。その理由は、固定金利との金利差です。直近のデータでは、変動金利を利用する人は76.9%と8割近くにのぼります。
全期間固定金利の金利は現在、2%前後ですが、変動金利は0.3〜0.4%程度で借り入れることができます。金利が1.5%程度変わるとなると、3,000万円の借り入れ額で月々の返済額は1万円以上変わってきます。
10月の変動金利引き上げは0.15%程度
9月変動型住宅ローン金利 | 10月変動型住宅ローン金利 | |
三井住友銀行 | 0.475% | 0.625% |
りそな銀行 | 0.33% | 0.48% |
三菱UFJ銀行 | 0.345% | 0.345% |
みずほ銀行 | 0.375% | 0.375% |
大手金融機関の変動型住宅ローンの金利は、上記のとおりです。金利を引き上げた金融機関は三井住友銀行とりそな銀行で、いずれも引き上げ幅は0.15%。三菱UFJ銀行とみずほ銀行は金利を据え置いています。
この程度の引き上げ幅であれば市場にほとんどインパクトはないでしょうが、多くの金融機関が変動金利を引き上げ、変動金利が0.8%、1%……となっていくと、不動産価格にも影響を与える可能性があります。
今後、住宅ローン金利はどうなる?
一部の金融機関が変動金利を引き上げた理由は「短期プライレート」の上昇です。短期プライムレートとは変動金利の基準となる指標で、日銀の利上げ決定後、短期プライムレートを引き上げる金融機関が相次いでいます。各行ともに、短期プライムレートの上昇は実に約17年ぶりのことです。
10月の変動型住宅ローンの金利を据え置いた金融機関も、短期プライムレートを引き上げているケースはあります。したがって、年末から年始にかけて変動金利引き上げの動きが拡大する可能性があります。
また、年末年始に日銀が追加利上げを発表するのではないかと見ている専門家も少なくありません。追加利上げがあれば、2025年には変動金利が1%やそれに近い水準になる可能性もあります。
「低金利」は不動産売却の大きな後押しとなる
不動産を購入する多くの方が利用している変動型の住宅ローン金利が、上昇を始めています。ここ10年以上、住宅ローン金利は低下局面にありました。これが昨今の不動産価格高騰の大きな後押しとなったといっても過言ではありません。
金利が上昇すれば、不動産価格が下落する可能性があります。不動産を手放すことを検討している方は「低金利」といえるうちに売却を検討しましょう。